AIアバターは接客・教育・エンタメなど、様々な分野での活用が期待されています。
今だと、顔出しなしのYouTubeやInstagramのリールでAIアバターを使ってる人を見かけることが多いでしょうか。
でもAIアバターは大きく分けると
- アニメ・CG風
- 実写・リアル風
この2つがあり、どちらを使うべきか迷いますよね。
実写・リアル風のアバターだと「不気味の谷」という現象があり、見てる人が不安・不快に感じる恐れがあります。
アニメ・CG風だとちょっと幼稚で、子供向けかな、という印象もあります。
AIアバターを使うなら、アニメ・実写どちらが良いのでしょうか?
この問題を解決する手助けになりそうな実験をドイツのミュンスター大学のチームが実施し、論文を発表しています。
結論から言うと
「大人向けに専門分野の知識を説明するなら実写・リアル風がおすすめ」
という結果が出ています。
なぜならアニメよりも実写風のアバターの方が、見た人から
- 専門的な知識が高い
- 誠実で信頼性が高い
- 人を思いやる気持ちが高い
と評価されやすいからです。
すでに結論はお伝えしてますが、この記事では論文の紹介と、AIアバターの生成方法を紹介します。
AIアバターの信頼性に関する研究内容・結果
ミュンスター大学のチームが発表した論文
「Balancing Realism and Trust: AI Avatars In Science Communication(リアリズムと信頼のバランス:科学コミュニケーションにおけるAIアバター)」
を紹介します。
調査目的は「不気味の谷現象」の正しさの確認
ミュンスター大学のチームの調査目的は「不気味の谷現象」の正しさの確認です。
いま、TikTokなどのショート動画プラットフォームには以下のような動画がたくさん投稿されています。
@histoires_vivantes Marie Curie nous raconte son histoire. #mariecurie #histoire #apprendavectiktok #historytime #learnontiktok #goviral
♬ Relaxing Japanese-style piano song inviting nostalgia – Akiko Akiyama
これは物理学者・化学者のキュリー夫人が科学について解説する動画です。
正直ちょっと不気味で、気持ちを不安にさせる動画ですよね(そもそも顔が怖い)。
この動画の顔の怖さは置いといて、リアルな顔に近い偽物、このキュリー夫人のような人間に近い顔に不安や不信感を感じる現象は「不気味の谷」と呼ばれています。
よって研究チームは、視聴者がこのような動画を見ても学習効果はイマイチなのでは?と考えたのです。
信頼できない相手から言われた内容は頭に入ってきませんからね。
調査チームは
「AIアバターで科学的な知識を普及させたいなら、実写よりも(不気味の谷がない)アニメ調のアバターの方が良いのでは?」
という仮説を立て、実際どうなのかを調査しました。
実験では4パターンのAIアバターを使った動画を用意
調査チームは被験者として年齢・性別・学歴の異なる491人を集めました。
そして被験者に動画を見てもらいました。
動画にはそれぞれ異なるアバターが写っており、アバターが科学的な内容(遺伝子治療による色覚異常の治療について)を解説するものです。
音声はありませんが、下の動画が実際に使われたものです。
このような動画を実写版(男性・女性)、CG版(男性・女性 )あわせて4パターン作っています。

そしてAIアバターの「信頼性」を判断するため、被験者には以下の3つの項目でアバターを評価してもらいます。
- 専門的な知識の高さ
- 信頼性の高さ
- 人を思いやる気持ちの高さ
すべての項目で実写・リアルなAIアバターの評価が高かった
冒頭でお伝えしたように、この実験ではリアルなアバターの方が信頼性が高い、という結果が出ました。
しかも、3つの項目すべてにおいてリアルなアバターの方が高く評価されました。
アバターの性別で評価が分かれた項目があります。
それは「専門知識の高さ」に関する項目。
専門知識の高さは女性アバターよりも男性アバターの方が高く評価されました。
理由として調査チームは「ステレオタイプ」を挙げています。
つまり、科学者は男性の方が有能だという先入観が被験者にあった、ということですね。
人はAIアバターでもバイアス(偏り)の影響を受けることが示唆されています。
【注意】AIアバターを作るときは顧客(聞き手)に合わせる
今回紹介した実験では、実写のAIアバターの方が信頼性が高い、という結果になりました。
しかし、これがすべての顧客(聞き手)に当てはまるわけではありません。
たとえば、小学生が相手ならピクサー風のCGキャラクターの方が信頼性が高いかもしれません。
婦人科系の病気についての解説動画だったらどうでしょう。
おそらく、アニメよりもリアルな方がよくて、さらに男性よりも女性のアバターの方が信頼性が高くなるはずです。
このように、AIアバターを生成するときは顧客(聞き手)に合わせて最適なアバターを作ることが大事です。
なので、まずは情報を届けたい相手、つまり顧客の属性(年齢・職種等)をしっかり定めてください。
そして
「顧客が求めているのはどんな人物だろう?」
と一度考えてからAIアバターを生成することをおすすめします。
リアルなAIアバターを生成する方法を紹介
ここからは、ミュンスター大学のチームによって信頼性が高いと判断された、実写風のリアルなAIアバターを生成する方法を紹介します。
ここでは2パターンに分けて紹介します。
① 画像生成AI&動画生成AIを使う
はじめに紹介するのは画像生成AIと動画生成AIを使う方法です。
この方法では
- 画像生成AIで本物の人間に近いアバターを生成する
- 画像生成AIで生成したアバターを動画生成AIを使って動かす(喋らせる)
という流れになります。
人に近いAIアバターを作りたい人におすすめの画像生成AI
人に近いAIアバターを作りたい人におすすめの画像生成AIは以下の3つです。
このうち、完全無料で使えるのはImageFXだけです。
画像生成AI初心者の場合、まずはお金がかからないImageFXを使ってみるのが良いと思います。
Midjourneyは有料課金しないと使えません。
でもReveなら無料会員でも毎日20枚の画像を生成できます。
お金をかけずに高機能な画像生成AIを使ってみたい方はReveもおすすめです。
Reveの使い方はこちらの記事で詳しく解説していますので、興味がある方はぜひ読んでください。
AIを喋らせるのにおすすめの動画生成AI
2025年4月の段階で、AIを喋らせるのにおすすめの動画生成AIは以下の2つです。
この2つは「リップシンク」と呼ばれる、AIアバターに自然に喋らせる技術が優れています。
筆者はじっさいにDreaminaを使ってAIアバターを作ってます。
動画はこちら↓
Dreaminaを使い、このような動画を作る方法はこちらの記事で詳しく解説していますので、ぜひチェックしてください。
② AIアバター生成専用のAIツールを使う
次は「AIアバター生成専用のAIツールを使う」を紹介します。
といってもツールによって使い方が異なるので、この記事では人気のあるツールの紹介のみに留めます。
AIアバター生成ツールとして世界的に人気があるのは以下の3つです。
ちなみに、今回紹介したミュンスター大学のチームが利用したのはHeyGenです。
AIアバター生成ツールを使うと簡単にAIアバターが喋る動画を作れます。
けれど、日本人のアバターが少なかったり、日本語の読み上げが不自然などのデメリットもあります。
なので、もし完成度が高い日本人のAIアバターを作りたいなら、先に紹介した画像生成AIと動画生成AIを組み合わせて方法の方が優れたAIアバターを生成できると思います。