n8n初心者向け講座の第6弾は
「個人秘書のようなAIエージェントを作る」
です。
と言っても、そんな大袈裟なものではありません。
作るのは、チャットで質問すると以下の2つの話題に答えてくれるシンプルなAIエージェントです。
- 天気情報
- スケジュール
朝おでかけ前に使うチャットボットみたいなイメージですね。
今回作るワークフローの完成系はこちら↓
シンプルなワークフローですが、これを作ることで以下の2点を学べます。
- AIエージェントの作り方・設定方法
- 新機能「AIエージェントツールノード」の使い方
どちらも、今後n8nでワークフローを作るときによく使うノードになるはずです。
ぜひ記事を見ながら手を動かし、AIエージェント作りに挑戦してください!!
STEP⓪ ワークフロー構築前の準備
今回のワークフローを作るにあたり、必要なものは以下の3点です。
- Googleアカウントと連携したn8nアカウント
- 予定が入力されたGoogle Calendar
- Googleの生成AI「Gemini(ジェミニ)」のAPI
Googleアカウントで連携すればGoogle Calendarも使える
3つのうち
- Googleアカウントと連携したn8nアカウント
- 予定が入力されたGoogle Calendar
この2つは、ほぼ同じです。
要はGoogleアカウントがn8nと連携しており、そのアカウントのGoogle Calendarに予定が入っていればOKです。
Google Calendarに入力する予定は架空のものでOKです。
n8nとGoogleアカウントの連携については以下の記事を参考にしてください。
連携したら、Googleクラウドで「Google Calendar API」を有効にすることも忘れないでください。
GeminiのAPIの入手方法
GeminiのAPIは以下のサイトで簡単に入手できます。
https://ai.google.dev/gemini-api/docs?hl=ja
APIを入手する手順を解説します。
まず、
「Gemini API キーを取得する」
をクリックします(場所は下の画像を参考)。
次の画面では右上にある
「APIキーを作成」
をクリック。
次の画面では
- 既存のプロジェクトでAPIキーを作成
- 新しいプロジェクトでAPIキーを作成
このどちらかをクリックします。
どちらでも問題ありませんが、過去にプロジェクトを作っていたら①の方で良いと思います。
準備が完了したらSTEP①に進みましょう!
STEP① AIエージェントノードを追加
はじめに「AIエージェントノード」を追加します。
下の動画を参考にしてAIエージェントノードを追加してください。
追加すると、自動でトリガーとして「When chat message received」も追加されます。
AIエージェントノードを追加したら、以下の2つを追加します。
- Chat Model
- Memory
「Chat Model」はAIエージェントの頭脳にあたる部分です。
ここには生成AIを追加します。
n8nでは色々な生成AIを使えますが、ここではGoogleの「Gemini」を選びました。
Geminiのノード名は「Google Gemini Chat Model」です。
Memoryは定番の「Simple Memory」でOKです。
Geminiのノードは認証が必要です。
ノードをクリックし
「Credential to connect with」
の横にある編集ボタンをクリックしてください。
次の画面にある
「API Key」
に、取得しておいたGeminiのAPIキーを入れ、認証が完了させてください。
GeminiのModelはどれでもOKです。
AIエージェントノードの追加と設定はこれでいったん完了です。
STEP② 天気担当のAIエージェントツールノードを追加
次は、新機能「AIエージェントツールノード」を追加します。
ここで追加するのは天気担当のノードです。
「AIエージェントツールノード」とは?
「AIエージェントツールノード」は2025年7月にn8nに追加された新しいノードです(参考:n8n公式ドキュメント)。
名前が紛らわしいので整理すると
- 先ほど追加したノード:AIエージェントノード
- これから追加するノード:AIエージェントツールノード
このようになっています。
AIエージェントツールノードは、とても簡単にいうとAIエージェントの部下のような役割です。
今回のワークフロー全体で見ると、以下のような役割分担になっています。
- ユーザーがチャットで指示
- AIエージェントが①の指示内容を確認し、どの部下(AIエージェントツールノード)にタスクを割り振るか決める
- AIエージェントツールノードがAIエージェントに割り振られたタスクを実行
AIエージェントツールノードを使うことで、指示役(AIエージェントノード)と実行役(AIエージェントツールノード)が分かれます。
これにより、n8nでのワークフロー構築に様々なメリットが生じます。
メリットに関しては以下の記事で解説していますので、お手隙な時にチェックしてください。
「AIエージェントツールノード」の追加方法
ここからは、AIエージェントツールノードの追加方法を解説します。
AIエージェントにAIエージェントツールを追加するときは「Tool」をクリックします。
そして「AI Agent Tool」と検索し、表示されるノードを追加します。
下の動画を参考にしながら追加してください。
ノードを追加したら、AIエージェントノードの時と同じように以下の2つを追加してください。
- Chat Modelに「Google Gemini Chat Model」
- Memoryに「Simple Memory」
天気予報APIを取得する
追加したAIエージェントノードは天気予報を担当します。
なので、HTTP Requestノードを使い、APIで天気情報を取得します。
ここで使うのは
「天気予報 API(livedoor 天気互換)」
というサービスです。
公式サイトは以下。
https://weather.tsukumijima.net/
AIエージェントノードの「Tool」の部分にHTTP Requestノードを追加し、以下のように設定してください。
- 名前:「Weather_news」に変更
- URL:https://weather.tsukumijima.net/api/forecast
- Send Query Parameters:ONにする
- Name:「city」と入力
「Value」は天気情報が欲しい地域コードを入力します。
地域ごとのコードは天気予報APIのサイトで確認できます。
【重要】ノードの名前・設定を変える
AIエージェントツールノードの名前やプロンプトを変えましょう。
実は、この部分はとても重要です。
なぜなら、このノードの上位のAIエージェントは下位のAIエージェントのツールノードの
- 名前
- Descriptionの内容
を見て、どのようなタスクを割り振るか決めるからです。
要は、名前やDescriptionでAIエージェントはどのAIエージェントノードにタスクを割り振るか決めるのです。
ここでは以下のように設定します。
- 名前:Weather Agent
- Description:天気の情報を取得するときは、このツールを使ってください。
「Prompt (User Message)」には、このAIエージェントツールノードに対する指示文(プロンプト)を入れます。
今回は以下のプロンプトを入れます。
## 役割
- ツールに適切にアクセスし、天気の情報を取得します。
- 取得した情報をわかりやすく解説します。
## 使用できる機能
- Weather_news:外部APIにGET/POSTリクエストを送信できます。天気のリアルタイム情報取得に使えます。
大事なポイントとして「役割」のところに
「あなたは天気予報士です」
みたいなプロンプトを入れてはいけません。
このような役割を与えると上手く動作しません。
AIエージェントツールノードに実行してもらうタスクをシンプルに入れた方がスムーズに動きます。
使用できる機能として「Weather_news」のように、ノード名をしっかり指定することも重要です。
こうすることで、AIエージェントが戸惑うことなくノードを活用できるようになります。
ここまでで、以下のワークフローができたと思います。
もし画面内に赤文字が表示されてたら、設定に漏れがあります。
内容を確認し、漏れがなくなるよう設定してください。
設定が完了したら、別のAIエージェントノードの追加・設定にうつりましょう。
STEP③ スケジュール担当のAIエージェントツールノードを追加
次はスケジュール担当のAIエージェントノードを追加します。
「Chat Model」と「Memory」を追加
まずは、STEP②のときと同じ流れです。
親となるAIエージェントノードの「Tool」をクリックし、AIエージェントツールノードを追加します。
追加したら「Chat Model」と「Memory」を追加します。
一連の流れは以下の動画を確認してください。
「Google Calendar Tool」を追加・設定する
次は「Tool」をクリックし
「Google Calendar Tool」
を追加します。
追加したら認証設定してください。
認証が完了したら「Operation」を
「Get Many」
に変更します(下の動画を参考)。
変更したら「Calendar」の項目にある
「From list」
で、情報を取得したいカレンダーを指定してください。
Googleアカウントとの連携ができていれば、Google Calendarに登録してるカレンダーの名前が表示されるはずです。
ノードの名前・設定を変える
STEP②と同じように、ノードの名前と設定を変えます。
「ノードの名前」と「Description」は以下のように変更してください。
- 名前:Schedule Agent
- Description:今日の予定を確認するときは、このツールを使ってください。
そして、「Prompt (User Message)」は以下のように設定してください。
## 役割
- ツールに適切にアクセスし、今日の予定を確認します。
## 使用できる機能
- Google_calendar:外部APIにGET/POSTリクエストを送信できます。今日の予定を取得・確認できます。
STEP③はこれで完了です。
STEP④ AIエージェントの「System Message」を設定
STEP③までで、ワークフロー自体は完成されてます。
最後に、このワークフローの司令塔的な存在であるAIエージェントノードの仕事内容・役割を設定します。
「System Message」で仕事内容・役割を設定する
AIエージェントノードの仕事内容・役割は
「System Message」
の箇所で設定できます。
AIエージェントノードをクリックし、さらに「Options」の下にある
「Add Option」
をクリック。
すると
「System Message」
という表示が見つかるので、クリックしてください(下の動画を参考)。
「System Message」ではAIエージェントの
- 役割
- 使えるツール
などをプロンプトで記載します。
「System Message」にプロンプトを入力
今回は以下のプロンプトを入力します。
## あなたの役割
タスクに適切に振り分けるのがあなたの仕事です。
## 使用可能なツール
- Weather Agent:天気情報を取得するときに使う
- Schedule Agent:今日の予定を確認するときに使う
このAIエージェントは仕事を割り振るだけのエージェントなので
「タスクに適切に振り分けるのがあなたの仕事です。」
とシンプルに書きました。
「使用可能なツール」では以下の2点を記載しました。
- AIエージェントツールノードとして追加した2つのノードの名称
- それぞれどんな時に使うのか
このように記載することで、AIエージェントは迷うことなくタスクを実行できるようになります。
今回使ったのはシンプルなプロンプトですが、最初はこれくらいで良いと思います。
大事なのはAIエージェントが適切に動いてくれることです。
最初はシンプルなプロンプトを使い、まずは動いてくれることを確認しましょう。
その後追加したり変更してプロンプトの精度を高める、という流れがおすすめです。
これで設定はすべて完了です。
最後に、AIエージェントに指示してみましょう。
STEP⑤ チャットでAIエージェントに指示を出す
作成したAIエージェントとチャットするときはワークフローの下部に表示される
「Open chat」
をクリックします。
クリックしたら左下にチャット窓が表示されるのでチャットしてみてください。
下の動画は以下の2つの質問をAIエージェントにしている画面です。
- 「今日の天気は?」
- 「今日のスケジュールは?」
それぞれの質問に対し、AIエージェントが適切にAIエージェントノードにタスクを割り振り、回答が返ってきていることがわかると思います。
今回はAIエージェントノードを2つしか使いませんでしたが、ノードは適宜増やせます。
増やすことによりAIエージェントの機能が拡張します。
もし欲しい機能があったら、追加してみてください!
n8n初心者向け講座第6弾の解説は以上となります。
読んでくださりありがとうございました。
第6弾以外のn8n入門講座はこちら
この記事で紹介した第6弾以外の、n8n入門講座を一覧で紹介します。
どれもn8n初心者向けのワークフローですので、ぜひ参考にしてください。
