n8nは、さまざまな業務を自動化できるとても便利なツールです。
活用範囲が非常に広いこともあり、使っているうちに
「n8nって商用利用できるのかな?」
と疑問に思う方も多いでしょう。

実は
商用利用=営利目的での利用
という理解は正しくありません。
「商用利用」という言葉自体、意外とあいまいな概念なのです(参考:ビーンズ行政書士事務所
そのため、特定のサービスをビジネスで使いたいと考えたときは、サービス提供元の方針や利用規約をしっかり確認することが重要です。

この記事では、n8n公式ドキュメントをもとに、n8nの商用利用についてOK・NGの事例付きで解説します。
n8nをビジネスに活用したい方は、ぜひ参考にしてください。

【重要】n8nはオープンソースではなく、商用利用に制限あり

まず押さえておくべき大事なポイントがあります。
n8nは「オープンソース」ではありません。

「ソースコードが公開されていて、無料で使えるのに?」

と思うかもしれませんが、その理由を解説します。

n8nはフェアコードモデル

n8nのソースコードは公開されていて、誰でも閲覧・利用や改良が可能です。
私もn8nのソースコードを自分のサーバーやローカルにインストールして使っています。

一見オープンソースのように見えますが、大ざっぱに言えばオープンソースには
「使用制限をしてはいけない」
というルールが設定されています。
n8nはソースコードを公開してるものの、商用利用に制限を設けているため、このルールに当てはまらないのです。

そこでn8nは、自分たちのモデルを「フェアコード(fair-code)」と呼んでいます(参考:n8n公式ドキュメント

商用利用に制限を設けている

n8nは「フェアコード」という考え方をベースにして、n8nの利用ルールを定めました。
それが
Sustainable Use License(サステナブルユースライセンス)
です。

n8nのSustainable Use License(サステナブルユースライセンス)

n8nのフェアコードと、オープンソースとの主な違いは商用利用についての制限が設定されてる点です。
オープンソースと違いは以下の図で確認してください。

n8nのフェアコードと、オープンソースとの主な違い

n8nの商用利用OKとなる具体的な例を紹介

お伝えしたように、n8nは制限付きで商用利用を許可しています。
ここからは、具体的にどんな使い方ならn8nの商用利用OKになるかを解説します。

会社内の業務改善にn8nを利用

企業が会社内の業務改善にn8nを活用することは許可されています。
会社が保有するデータ同士を自動で同期することも許可されています(参考:n8n公式ドキュメント

noteでn8nの使い方に関する情報を有料販売

noteでは情報を有料販売する人が多いです。
n8nの使い方、具体的にはワークフローの構築方法などのノウハウを有料販売する人もいますが、このような使い方も許可されています。

n8nを使った業務自動化のコンサルティング

n8nを使った業務自動化のコンサルティングも許可されています。

具体的には、他の会社や個人に依頼され

  • n8nを使った自動化の仕組みを作る
  • n8nの使い方を教えたり、利用のサポートをする

などの行為を行い、その対価として金銭を受け取ることは許可されています(参考:n8n公式ドキュメント

実は、n8nを使ったこのような行為は以前は許可されていませんでした。
しかし現在はルールが変わり許可されていますので安心してください。

n8nのワークフローの販売

n8nでは、作成したワークフローをJSON形式で出力できます。
このJSONファイルを使えば、他のユーザーも同じワークフローを簡単に利用できます。
そのため、自分が作ったワークフローを販売することも可能です。

販売の場として利用できるのが、n8n公式のテンプレート配布サイトです。
ただし、いきなり有料テンプレートを販売することはできません。
有料販売を行うには、n8n認証済みクリエイターになる必要があります。

認証済みクリエイターになるには、3つ以上のテンプレートを公開し、さらにn8nが定める基準をクリアする必要があります。
興味がある方は、まず公式サイトでどんなテンプレートが販売されているかチェックしてみてください。

n8n公式テンプレート配布サイトURL
https://n8n.io/workflows/

n8nのノードの開発・作成

n8nのノードは自分で開発・作成できます。
新規ノードを自身で作って販売するなどの行為も許可されています。

n8nの商用利用のNG例を紹介

次は、n8nの商用利用のNG例を紹介します。
基本的な考え方としては
「それ、n8nそのもので稼いでるじゃん!」
という場合、商用利用NGとなります。

n8nを自分たちの製品として販売する

現実世界ではあまり無いと思いますが、n8nをあたかも自分達の製品として売ることはNGとなります。

例えば
「これは私が作ったすごい自動化ツールです!」
と言って、中身がそのままn8nなのに、料金を受け取って顧客に提供するような場合です。
このような行為はn8nそのもので稼いでることになるので商用利用NGです。

n8nをホスティングし顧客に利用料金を請求する

n8nをサーバー上に置いて、顧客に有料で使わせるような行為はNGとなります。

あなたがサーバーを用意し、そこでn8nを動かし
「私にお金を払えば超優良ツールのn8nの機能が使い放題だよ!」
と顧客に提供するような行為ですね。
このような行為も、n8nそのもので稼いでると言えるので商用利用NGです。

自分たちが運営するサービスにn8nを機能として埋め込む

例えば、あなたが「A」という有料のSaaSサービスを運営しているとします。
そのサービスにn8nを組み込み、機能の一部として提供することはライセンス上禁止されています。
オフィス系ツールとの連携などで便利そうに思えますが、n8nを自社サービスの機能として組み込むことはNGです。

商用利用NG例に該当する行為をしたい時はn8nに相談する

商用利用NGのケースに当てはまる使い方を検討している場合は、まずn8nに相談しましょう。
なぜなら、n8nはNG例を完全に禁止しているわけではなく、条件によっては公式に許可しているからです。

特に
「自社サービスにn8nを機能として組み込む」
といったケースはよくあり、この仕組みを「n8n Embed」と呼び、公式に企業利用をサポートしています。

もし、自社サービス内でn8nを利用したい場合は、以下のn8n Embed公式サイトから問い合わせてください。
https://n8n.io/embed/

n8n Embed公式サイト

商用利用できるか不安なときはn8nに問い合わせる

ここまで、n8nの商用利用について解説しました。

しかし、n8nの商用利用に関する情報は公式サイト以外ではあまり多くありません。
この記事を読んでも、

「この使い方は商用利用OKなの?それともNG?」

と迷うことがあるかもしれません。
そんなときは、n8n公式に直接問い合わせてみましょう。

n8nでは、商用利用に関する専用のメールアドレス(license@n8n.io)を用意しています。
ただし、その前に必ず以下の公式ドキュメントを確認しておくことをおすすめします。
n8n公式ドキュメント(Sustainable Use License)